ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第3章 かつての私
それから、私はもう一度『生きる』為に色々行動を開始した。
五年程前、私は家を出る気でいた時期があったので、
休止していたものを再開したと言った方が正しいかも
しれない。
廃人のようになっていた五年間が嘘のように、
私の心は晴れやかだった。
それもこれもハンサムな彼のお陰である。
彼の素性などは気になったが、あの場で彼の名前を聞くより
推理小説のように自分で探っていく方が楽しそうに感じて、
何も聞かなかった。
それに彼は結構夜会では有名人だったっぽいので
(ご婦人方が噂するくらいだし)、すぐに分かるだろうという
打算もあった。
両親の目を盗み・・・と言っても、両親は基本私に興味が無く、
必要な時に使えれば良いというスタンスな為、
行動が制限されることはほとんどないが、
私に男の影を感じたら速攻で潰しに掛かってくるし、
私が家を出るとなったら幽閉されかねないので、
慎重にならざるを得ない。
屋敷にいる使用人も信用が出来ない為、
私は嘘を吐きながら外出する必要があった。