ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第17章 覗き見
調査兵はいつ死んでもおかしくはない。
ラウリィの時もそうだった。
壁外調査に出かけたラウリィが生きているか、
気が気じゃない時間も当然あった。
それはとても辛い事だが、それが彼らの夢なのだ。
私は命を懸けて戦ってくれている彼らを尊敬している。
その覚悟もずっとしてきた。
だから私は迷わなかった。
「えぇ、喜んで!私はエルヴィンさんの夢を応援し、
支えたいです」
エルヴィンさんは無邪気な子供のような笑顔で
テーブル越しに抱きついてきて「ありがとう」と
何度も口にした。
そして「あ!」と何かを思い出したのか身を引いて
ゴソゴソ何かを探した後、箱を取り出す。
「すまない。順番とかがおかしくなってしまったが、
この指輪を君に嵌めても良いだろうか?」
「勿論です」
即答するとエルヴィンさんは嬉しそうに
指輪を私に嵌めてくれた。
エンゲージリングかな?と思ったら、
それを飛び越してのマリッジリングだったらしく、
彼の分の指輪もあって笑ってしまった。
一体どれだけ焦っていたのだろうか?