ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第17章 覗き見
あの日々のように二人で色々屋台で注文して、
空いているテーブルにつく。
「頂きまーす!」
当たり前のように食事を始めて、
会っていなかった半年何をしていたのか語り合った。
エルヴィンさんは予想通りというべきか、
調査兵団廃止派を完膚なきまでに叩き潰すべく
色々暗躍していたらしい。
思わず笑ってしまった。
「・・・君は・・・こんな俺を恐いとは思わないのか?」
不安そうな表情でそう言われたが、私は首を横に振る。
「いいえ、私は元貴族です。そんなの日常茶飯事でしたから
慣れてしまっているので今更エルヴィンさんが恐いなんて
思いませんよ。むしろ、実の親を死に導いた私の方が
恐い人間だと思いますが?」
「それは違う!君は俺と調査兵団、ひいては人類を
救ってくれたんだ。調査兵団は人類の矛。それを無くして
攻められたら一溜まりもないというのに廃止派が・・・」
そこまで言ってエルヴィンさんは口を噤み
「・・・すまない。熱くなってしまって・・・」と
謝罪してきた。
エルヴィンさんは優しい。
こうやって私が『実親殺し』に罪悪感を
持たせないようにしてくれようとする。
自分で選んだ道だと言っても、
それでも庇ってくれようとする。
真面目で器用で・・・とても不器用な人だ。
「エルヴィンさん、ありがとうございます。
私は貴方に救われています」
テーブルの上に置かれた彼の手に自分の手を重ねて
「私は今貴方のお陰で幸せです」と告げると、
彼は置かれた手を両手で握り
「結婚してくれないか、。君の心にラウリィが
いても構わない。ラウリィ以上に君を幸せにしたいと
思っている。・・・だが、俺は調査兵団団長だ。
壁外調査に行けばいつ死んでもおかしくない身。
俺の我儘だとはわかっているが、それでも君と
結婚したいと渇望している。考えて貰えないだろうか?」
と懇願するように言った。