ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第14章 逃亡先にて
「いらっしゃいませ。シーナから取り寄せも可能ですので、
ご入用のものが店頭になければお声掛け下さい」
初めてのお客さんみたいなので、そう声を掛けると
メガネを掛けた女性?は「うん、ありがとー」と言って
棚に向かった。
よく見れば調査兵団の服を着ているではないか。
最近よく調査兵の方が出入りするので、
口コミが良いように広がっているのかもしれない。
メガネの調査兵の後からゾロゾロと沢山の調査兵の方々が
入店してきた。
背の低い黒髪の調査兵とエルヴィンさんより
大きい髭の調査兵、金髪で変わった髪の結い方を
している男性と堅物そうな短髪の男性、
クセ毛な男性にその男性と口論するような感じで
食って掛かっている可愛らしい女性、
クールビューティーと呼ぶに相応しい金髪の女性に
個性的に髪をビシッと決めている男性、
真面目そうな茶髪の男性は慌ててメガネの調査兵の
傍に寄り添い小言を言っているようだった。
総勢10名程の来店にあまり広くないお店はごった返す。
背の低い黒髪の調査兵を筆頭に他4名は掃除用具を
見ているようで、背の高い髭の男性とクールビューティー、
個性的な髪型の男性は香水や整髪料、
メガネの調査兵と真面目そうな男性はビーカーや
フラスコなどを物色し始めた。
私は彼らの邪魔をしないようにカウンターで
書類整理しながら、いつ声を掛けられても対応できるように
周囲に気を配る。
やがて香水など選んでいた背の高い髭の男性が
困ったように此方を見たので、すぐにそちらに向かった。
「どうかなさいましたか?」
「・・・あぁ、実はこれを探しているんだが・・・」
そう言われながら差し出されたのは香水瓶だった。