ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第14章 逃亡先にて
「頼まれもので、あまりローゼには無いものらしいんだ。
この店ならあるかと思ったが・・・どうだ?」
渡された香水瓶を見ると、エルヴィンさんに
選んだものと同じ香水だった。
エルヴィンさんと同じ香水、調査兵、頼まれもの・・・
もしかしてと思い、髭の男性に『誰からの
頼まれものなのか』を聞こうとしたら、
先にクールビューティーが声を上げた。
「あぁ、エルヴィンに頼まれたやつか。
それシーナで買ったもので結構良いやつなんでしょ?
ここで無かったらシーナまで行くしか無いかもね」
「いや、ここ一応取り寄せも出来るって言ってたじゃん」
個性的な髪型の男性は先程の私の説明を覚えていたらしく
「シーナまで行く必要無さそうで良かったよな」と
二人で会話を始めた。
エルヴィンさんからの頼まれものだと確認出来た私は
心が踊った。
まだこれを愛用してくれていた事が凄く嬉しかったのだ。
てっきり香水選びもリップサービスの一環だったと
思っていたので、そんな事を考えてしまった自分を
恥じつつ、あの時のエルヴィンさんが利害関係無く
いてくれたのが今更ながら嬉しい。
未練がましく『もしかしたらエルヴィンさんが買いに
来てくれるかもしれないから・・・』と取り寄せていて
良かったと棚の奥から、その香水を出し髭の男性に渡した。
「此方でお間違い無いでしょうか?」
間違っているはずはないが店員としてマニュアル通り、
お客様にも商品の確認をして貰い
「あぁ、間違いない。これを買おう」
と会計カウンターまで来て貰う。
香水をラッピングしていた時、ある事に気づいた。