第2章 『審神者』
扉を開けると奥に人影が。
此方なのか?
驚かさないよう、彼へ近寄ってみた。
『貴方が…歌仙様?』
「如何にも。僕は歌仙兼定、風流を愛する文系名刀さ。どうぞよろしく。」
身軽にクルリと向き直り、ニコリと微笑む。
なんともまぁ、美形な御方で。
爽やかなオーラを纏った歌仙様に少しばかり見とれてしまう。
付喪神とは皆さんこんな感じなのか??
『今日から審神者になりました。』
「それでは、本題の本丸へと向かいましょうか」
歌仙様と私は本丸と呼ばれる場所へと向かった。
「ここが本丸に御座います」
大きな正門を潜り、中へと進む。
自然の匂いと木の匂いが…。
両引き込み戸になっている戸を左右にスライドさせ、広々とした玄関に開いた口が塞がらなくなる。
玄関…広くない……?
そんな反応を見てか歌仙様が隣で私を見るなりクスクス笑っている。
口元を抑え笑う姿がなんとも上品だ。
そこから淡々と部屋の紹介を説明を受けた。