第1章 罰ゲーム
呆然と立ち尽くしている私。そんなこと構わずに自称神様は、私の腕を掴んで子供とは思えないすごい力で扉の中に引っ張りこんだ。
バタンッ!!
扉の閉まる大きな音で我にかえった。
慌てて後ろを振り返ってみたけど、そこにはもう何もなかった。
あぁ……もうあの日々は帰って来ない………
ぼんやりそんなことを思いながら座り込むしかなかった。
「そんなに落ち込まないでよ?w」
呑気な言葉に内心腹を立てながら、側でニコニコ笑っている自称神様を睨み付けた。おお恐いwなんて笑う彼に呆れ、ため息をひとつ付いた。何気なく周りを見渡すと真っ白な部屋にも見えるし、どこまでも広がる白い世界にも見える。
「ここは狭間(ハザマ)。君の世界でもあるし僕の世界でもある。君は僕に選ばれた!だかr「なんとなく言いたいことは、分かるけどちょっと待って。」
えーなんで~?なんて唇を尖らせたりしている自称神様。漫画や小説のような展開が自分にも起こるとは思ってもいなかったが実際その場に直面するとこんなに困るとは……。ふーっと息を吐き、自称神様のキラキラ輝く紺色の目をみつめた。
「あのさ、案外今の仕事気に入ってるし、病気もあるけどそれなりに上手く付き合ってる気もするし、それに今恋愛する気も無いんだよね……。」
「だからなんだっていうの?僕が連れていくって言ったら連れてく。その辺の神様と一緒にしないでよ!僕は気が短いの!」
怒る姿は、どう見ても子供が駄々を捏ねているようにしか見えない。なんとなく何かあると感じて、思いきって聞いてみた。
「何かあったの?」
その言葉にピクッと彼の肩が上がった。下を向きながら自称神様は、モゴモゴと言い出した。
「……いつもは勝ってたんだ……この間のときも…………僕は…………負けなかったのに……」
ふ~ん?そうか……誰かと勝負して負けたんだな?なんて思いつつ苦笑した。そこにどうして私が関係するのか気になった。
「…それで?どうして私を連れてくの?」
「それは……」
言い淀む彼に言った。
「大方、勝負に負けて何かしら言われたんでしょ?そうね……イレギュラーを入れて世界をかき混ぜろ?的な?苦笑」
「!!なんで……」
「いろいろ読んできたし夢見て来たからね?なーんとなくそうかなって苦笑」
私が苦笑すると彼はごめんと呟いて俯いた。