第5章 裏切りから味方へ
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『ギン…行くよ。桃を呼びに…』
「そうやね。」
ギンとレンは十三番隊隊舎に向かった。
―十三番隊隊舎。
「レン…!?どういうことだ!!説明しろ!!帰って来たら…雛森がここに…」
『浮竹隊長。落ち着いて下さい。あたしの母親…市丸季南は藍染惣右介が放った試作段階の虚に殺されました。本当はあたしが殺されるはずやったんやけど…母は…あたしを庇い、自らの命を捧げた。』
それに付け足すようにしてギンが語りだした。
季南が殺された時。藍染隊長はボクに言うたんや…迷う必要はなくなった。
娘と一緒に戻って来いって…
今まで幸せやなかった。誰もボクをホンマに理解してくれる人なんて居らんかったんや。
せやけど…季南は理解して…ボクを愛してくれた。
レンも産まれて…幸せな筈やった。
季南は心臓の病気になってしもたけど…
それでも…
幸せやったんや…
それを藍染隊長に壊されたんや。
ボクは…その二年後…
季南に教わった術を季南に教え込んだんや。
“陰陽道”っていう術を…
更に毎日…霊圧をレンに当て続けて…
霊圧をあげていったんや。
そのおかげかは…
分からんけど…レンの霊圧は統学院に入学する頃には隊長格並み。
始解も卍解も習得しとったんや。
「まぁ…そういうわけや。」
『そんで…桃は大事な親友や。だから…助けたんや。』
「今…浮竹隊長から聞いた。藍染隊長が…裏切り者だなんて…嘘だよね?レンちゃん…」
今にもパニックになりそうになりながら雛森が言った。
―パシンッ…
レンが雛森の頬を叩いた。
『桃…ええか?あの優しい藍染惣右介は最初からいないんや。あの人はアンタを利用したんや。』
雛森は頬を押さえながら下を向いている。
『ゴメンな…痛かったやろ…桃を守ってやられへんかった…』