第2章 Dolce【ミスタ】
「「「ワギャアアアアーーッ!クレェーーーッ!」」」
「「「ケーキダァーーッ!クレーーッ!」」」
「ぶッ!!!」
突如響き渡ったいくつもの甲高い声に、オレはせっかくのイチゴケーキを噴き出してしまった。
「うぉわあッ!!わ、悪い…!まだうまく制御できねーんだ…!!!」
「な、何だァーーッ!?一体!?」
「これが…ミスタのスタンド!?」
ナランチャとフーゴが咄嗟に立ち上がり、いきなり現れた小さな影を凝視した。
ブチャラティとアバッキオも声さえ上げなかったものの、驚いた様子でこちらを見ている。
「ミスタァーーーッ!ケーキオクレヨォーーッ!」
「自分ダケ腹イッパイ食ベルナンテズルイゾー!」
「オレタチニモ分ケテクレヨォーーッ!」
影達…昨日目覚めたばかりのオレのスタンド達は、口々に食べ物をよこせと要求している。
本体のオレにも何でなんだかさっぱり分からねえが、コイツらは"能力"のクセして腹が減るらしく、食事したがるのだ。
「お、おいオメーらッ!急に出てくるんじゃあねーッ!!飯なら後でやるって言っただろ!」
慌てて叱りつけたが、どうにも引っ込めるのが上手くいかねえ。
そうこうしているうちに、奴らはオレの皿に飛び込んでケーキに齧り付き始めた。
「だーッ、ヤメロ!そいつはオレのドルチェだッ!」