• テキストサイズ

GIOGIO/Breve modifica

第14章 Orecchini【アバッキオ】






「お前………」

眉間に皺を寄せて、アバッキオがチヒロを見つめる。どうやら持ち前の高い洞察力で、すっかり分かってしまったらしい。
こんなにもこのピアスに拘る理由も……彼女の気持ちも。


が、察したからといってもさすがに口に出せはしない様子で、目線を逸らして黙り込む。
気のせいだろうか、少し頬が赤い。

それに気づいたチヒロは、正反対にじっと彼を見つめた。鼓動が速い。


「何だよ」


彼女には分かる。

このしかめっ面は、実は照れ隠し。
貴方が本当は面倒見が良いことも、優しいことも、ちゃんと知っている。

不機嫌そうに寄せられた眉根さえ愛おしい。
知らず知らずのうちにふふ、と笑みが溢れた。


想いがどんどん膨らんでいくのが自分で分かる。

何笑ってんだ、と憮然とする彼にごめんごめん、と謝りながら、その決意は突然やってきた。


ああもう、言ってしまおうか。
ずっとずっと言えなかった、けれど1番伝えたい言葉を、今なら素直に言える気がする。


「…とにかく、もう無くすんじゃあねえぞ。」


決まりが悪そうに玄関へ向かって歩き出す、その背中に投げかける。




「アバッキオ、────好きよ」




振り向いた彼の表情に、チヒロも頬を染めて微笑んだ。





END
/ 81ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp