第2章 Dolce【ミスタ】
運ばれてきた料理はどれも美味かった。
やっぱりギャングが日頃使う店ってだけの事はある。
それに一時はどうなる事かと思ったが、話してみると全員そう馴染めない奴らでもなさそうだ。
「えッ、チヒロ、と…年上なのかぁッ!?」
「ええ。自分じゃ年相応だって思っているんだけど……そうは見えないかしら」
チヒロがクスクス笑う。
「東洋人は若く見えるからな」
水の入ったグラスに手を伸ばしながら、アバッキオがボソリと言った。
驚いた…確かに振る舞いは落ち着いちゃあいるが、てっきり年下かと思ったぜ。
本人の話によると出身は日本らしい。
ジャッポネーゼか…だが、こっちの男と結婚してるワケでもねえのに苗字はイタリア姓なんだよなァ……
─────"訳アリ"ってことか。
こういう事は、今詮索するべきじゃあねえ。
気を取り直してドルチェを頬張ろうとした、その時。