第2章 Dolce【ミスタ】
「ええと…ミスタ。僕はフーゴです、パンナコッタ・フーゴ。
こっちがナランチャ・ギルガで、向こうはレオーネ・アバッキオ」
割って入ったフーゴは、他の2人の分まで自己紹介を済ませちまった。
途端に不機嫌になったナランチャが、そのくらい自分でできるとブツブツ文句を並べ始める。
「大体、お前はいっつも上から目線なんだよ、フーゴォ……ちょっと頭良いからって調子に乗りやがってよ〜ッ」
「…何だと?誰がいつ調子に乗ったって?」
お、オイオイ…何だ?この一触即発の雰囲気は。こいつら同じチームの仲間じゃあねーのかよ?
予想もしていなかった状況に戸惑っていると、横から凛とした声が響いた。
「もう…2人とも、今はそんな事やっている時じゃあないでしょう」
どうやら鶴の一声だったのか、睨み合っていたフーゴとナランチャは渋々ながらもそっぽを向く。
声の主がオレに向き直った。
「それじゃ、私も自己紹介させてもらうわね。
チヒロ・ルミノーソよ。よろしく、ミスタ」
「あ、あぁ」
差し出された手を握り返す。
優しく微笑むその表情に、どきりとした。