第11章 Ubriacone【護チ】
「フフ…ずいぶんと仲が良いな、お前達」
いつの間にか、ソファの2人を見下ろすようにしてブチャラティが立っていた。
さっきからずっとふわふわ夢見心地のチヒロは、声をかけられて初めて彼の存在に気付いたらしい。
「あ〜ッ!ブチャラティ!どこに居たのォ?」
ずっとこの部屋に居たさ、という返事を聞いているのかいないのか、彼女はあっという間にジョルノの腕をすり抜けてブチャラティの胸に飛び込んだ。
「ブチャラティ、ブチャラティ、ブチャラティ〜!私、ブチャラティ大好き〜♡」
「おいおい、何回呼ぶ気だ」
今までに無かった勢いとテンションに、苦笑しつつもチヒロを抱きとめる彼がものすごく得意げに見えるのは…おそらく気のせいではない。
急に動くと危ないぞと窘めつつ、彼女をさり気なく捕まえて離さない。
ジョルノがじとりと見上げる視線は無視するつもりのようだ。更にはあえて皆に聞こえる音量で、腕の中の彼女に尋ねる。
「まったく…酔っぱらいには困ったものだな。チヒロはそんなにオレの事が好きなのか?」
「もちろんよォ〜!ブチャラティは優しくって、かっこよくって、頼りになって、私の恩人で…えっとォ、そう、ヒーロー!私のヒーローだわッ!」
再び大好きよ!と抱きつく腕に力を込める彼女の髪を撫でてやりながら、ブチャラティは他5人を振り返った。
その後ろ姿はまさに"見たか"と言わんばかりで、彼等は歯噛みする。
その中からジョルノが動いた。