第11章 Ubriacone【護チ】
ジョルノはすごいわ。上機嫌な彼女はそう続けた。
「いつだって冷静で、穏やかで…だけど私、貴方は何だってやり遂げる人だって思うわ。どんな事が起こっても、ジョルノならきっと大丈夫だって思えるの」
……………おや。
他のメンバーには必ずあった"大好き"の一言。
当然自分にも投げかけられるものだとばかり思っていた彼は、それが一向にやってこないので若干焦りを感じ始めた。
まさかとは思うが、彼女に好かれていないなんて事は────無い、筈だ。
自分は最も年下の後輩ではあるけれど、日頃のチヒロの態度から考えても好感を持たれていないとは思えない。
彼女を手助けした事も、共に楽しい時間を過ごした経験だって数多くある。
僕は、彼女の気持ちが知りたい。
その為ならば……手段は選ばない。
「チヒロ、僕は…貴女が好きです。貴女は、僕をどう思っていますか」
隣の彼女の瞳を真っ直ぐに見つめて、伝える。
あまりに突然の告白に周りのメンバー達は目をむいたが、ジョルノはお構いなしだ。
当のチヒロはきょとんとした顔で彼を見つめ返していたが、みるみるうちに笑顔になった。
「きゃあ〜ッ!ありがとう!私もジョルノが大好きよ!」
その一言と共に熱烈なハグが飛んでくる。彼女がまだ右手に握ったままのグラスが危うくジョルノの頭を直撃しかけたが、何とかかわせたのでノープロブレムだ。
どう思うか?とだけ尋ねてもさっきと同じ答えが返ってきそうだったので、あえて自分から好きだと伝えたのがやはり正解だった。
ベネ。柔らかな身体を抱き返しながら、ジョルノは満足げに口角を上げた。
…しかし、やはりまた彼の場合にも、邪魔は入る訳で。