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【GIOGIO】Breve modifica

第11章 Ubriacone【護チ】




「な、なあチヒロッ、オレ…うわッ!?」

すっぽり彼女の腕の中に収まったまま、更に話を引き出そうとしていたナランチャだったが、背中からグイと引き剥がされた。

彼を後ろへ放って、代わりにチヒロの前に座り込んだのはフーゴだ。


「チヒロ!あの、僕は…僕のことは、どう思っていますか」

背後からナランチャがわあわあ文句を言っているのが聞こえるがそれどころではない。
普段こんな事を聞いたって、照れて誤魔化されてしまう確率の方が高いのだ。この千載一遇のチャンスを逃すまいと、熱っぽい視線で彼女を見つめる。


「んん〜?フーゴぉ…?」

突然ナランチャが居なくなってぽかんとしていたチヒロは、問いかけられてふにゃりと笑みを浮かべた。

「フーゴはねぇ、いつも気を張ってるでしょォ。皆を取りまとめて、自分がしっかりしなきゃあ〜って」

そのまま彼の両手を掬い上げて、優しく握る。

「頭が良くって、何でも知ってて、でもねェ〜、どっか危なっかしいの。いちばん…放っとけない感じなのよねェ」

「えっ…」

フーゴは思わず口籠る。てっきり"しっかり者で頼りになる"なんて言ってもらえるんじゃあないかと思っていたのだが、予想外の答えだった。
もしや自分は、彼女に良く思われていないのだろうか?
ショックを隠しきれず、声が震える。


「…では、そういう僕は…好きじゃあない、ですか」

「ええ〜?何でそうなるのォ?私がフーゴの事好きじゃないワケないじゃあないの」

対照的に、チヒロはからからと笑って更に握った両手を引き寄せた。


「大好きよ、フーゴ。…だけど〜、もうちょっと、私の事も頼ってね?」


額と額がくっつきそうな距離でじっと見つめられ、フーゴは耳まで真っ赤になってしまった。

大好き。大好き。
何度も頭の中で反芻する。
そういえばいつも「何でも言ってね」とは言われていたが、こんな風に想ってくれていたからだったとは。

うふふ、と目の前で微笑む彼女が愛おしくて堪らない。
ああチヒロ、僕も…

僕も貴女が大好きです。


そう告げようとした彼だったが、


「きゃあッ!?」


小さな叫びと共に、目の前から突然彼女が消えてしまった。
───正確には、ミスタに抱き上げられてしまったのだ。



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