• テキストサイズ

GIOGIO/Breve modifica

第7章 Saluto【ジョルノ】




はあ。

またひとつ、溜め息が溢れる。

ふと、テーブルについた肘のすぐ横のテレビリモコンが目に入った。何の気なしに電源ボタンを押すと、ずいぶんと古そうなドラマの再放送が流れ始める。

画面の中では整った顔立ちのイタリア人男性が、出会ったばかりの美しい女性を言葉巧みに口説いているようだ。

この国の男達って、これが当たり前だって言うんだから驚きだわ。
ぼうっと眺めていたチヒロだが、突然はたと思い至った。


そうだ、自分がされたのはもしかして、これと同じような事なのでは?


考えてみれば、ジョルノだって立派なイタリアーノなのだ。
挨拶がわりに女性を褒めたり、口説いたり────時にはからかってみたりする事だって、あるかもしれない。
今回はたまたまその対象が自分だったというだけで。

うん、きっとそうだわ。そういえば彼、あの時冗談だって言っていたし──…


そう考えると、途端に意識しすぎていた自分が恥ずかしくなってきた。
彼がジョークでやった事で、ひとりこんなにドギマギしていたなんて。
もうイタリア暮らしも長いというのに…ああ、皆に気づかれる前でよかった。


これでやっとジョルノとも普通にコミュニケーションが取れそうだ。
ほっと胸を撫で下ろしたところに聞こえてきたのは、玄関扉の開く音。



/ 81ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp