第2章 炊き込みご飯
「鬼龍くん、朝だよ。今日はちはるちゃん遠足なんだからお弁当作らないと」
「……はよ」
「先に作業してるから顔洗って着替えてきてね?」
「おー…」
朝早い時間、水瀬に起こされて俺は制服に着替えて、顔を洗うついでに髪もセットして手を洗ってから台所に向かえば水瀬が弁当の支度をしてくれていた。
「水瀬、何からする?」
「じゃあ、私卵焼き作るからご飯の方お願いしていい?」
「わかった」
炊飯器の中には昨日のうちに仕込んで予約炊きをしていた炊き込みご飯がいい香りを漂わせていた。ご飯の中には玉ねぎ、ニンジン、ネギ、鶏もも肉を小さく刻んだものを一緒に入れ、出汁と醤油で味付けをしたものだ。
一口味見するとほのかなしょっぱさと甘みが朝の起き抜けの胃袋が空なのを実感する。
「鬼龍くん、はい」
「ん、うめぇ」
「朝ごはんはもう少し待ってね」
「わかってるって」
水瀬が振り向いて箸で挟まれた卵焼きを差し出されたのでそのまま口に入れた。控えめな甘さとふわふわな触感が美味い。
俺は適当に皿を出して、炊き込みご飯を俵型と小さい丸型に握って形を整えておにぎりを作っていった。それをついでに俺と水瀬、あと鉄の弁当分も作った。ご飯を握り終わると、今度は妹の弁当箱を出して、真ん中に俵型のおにぎり、その左右上に丸型のおにぎりを入れていった。あと昨日のうちに小さい丸に切っておいた海苔やハム、チーズを使えば、クマが出来上がる。
「水瀬、おかず入れてくぞ。」
「うん。お皿にあるのはもう出来上がってるよ」
「わかった」
水瀬が作ってくれたおかずをクマの周りに散りばめるようにして入れていった。唐揚げやミニトマト、ポテトサラダは入れれたが…
「あ、鬼龍くん、卵焼きとウィンナーはやるよ」
「そうか?」
「デザートのフルーツ出してもらっていい?」
「わかった」
卵焼きとウィンナーを切って、水瀬が入れるとそこにはウィンナーの飾り切りで出来た花、卵焼きを斜めに切ってハートを作っていた。たしかにこれを追加したら可愛いな。
「器用なもんだな?」
「お父さんはハムでバラとか作って入れてたよ?」
「…そういやあったな」
これなら妹も満足だろう。
残りのおかずやおにぎりは水瀬が適当に詰め込んでくれた。