第2章 炊き込みご飯
「あれでみんな水瀬ん家のご飯はいつも豪華だって噂してたからな」
「え、嘘!?」
「実際はほぼ俺ん家で食ってんのにな」
お父さんが仕事で夜に帰れない時は、昔から鬼龍くんの家で食べさせてもらっていた。でも、年々それを私が申し訳なく感じていて、鬼龍くんのお母さんに料理を教わっていたものだ。もちろん、お父さんがいる時は自分の家で食べてたし、料理を教わってからは一緒に作ったりもしていたけど。
「とりあえず、ちはるちゃんのお弁当どうする?」
「そうだな…とりあえず入れる弁当箱見てみるか。入る量も限られるしよ」
そう言って鬼龍君がキッチンの棚から出してくれたのはちはるちゃん用のお弁当箱だ。年相応の大きさのためか鬼龍君の手のひらくらいのサイズだ。
「ただいまー、お前らまだ起きてんのか? 早く寝ろよ」
「父ちゃん、おかえり。飯食うか?」
「お邪魔してます、おじさん」
鬼龍くんのお父さんが帰ってきて、話は一旦中断となった。
「あー、段々紅郎もあやちゃんも家の味マスターしちゃって、父は嬉しいよ」
「母ちゃんのが美味いだろ」
「そうですよ」
「お前ら謙虚すぎだろ…つか、なんで弁当箱出てるわけ?」
「ちはるの遠足の弁当会議」
「あー…張り切りすぎもほどほどにな」
遅い夕飯を食べながら、鬼龍くんのお父さんの意見も聞きつつ、私たちはどんなお弁当にするか話し合ったのでした。