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幼馴染とおうちごはん

第1章 鶏のから揚げ


「今日は賑やかだったね」
「そうだな。妹も今夜はぐっすり寝ちまったよ」

 鬼龍くんが南雲君を駅まで送ってる間に、私はちはるちゃんと一緒に後片付けと明日のお弁当の下準備をした。あとついでにちはるちゃんにお風呂に入ってもらっておいた。鬼龍くんが帰ってきた頃にはちはるちゃんは眠そうで、鬼龍くんに寝かしつけてもらったところだ。

「水瀬も今日はバイトもあって疲れたんじゃねぇか?」
「バイトはたしかに疲れるけど、ここでその分充電してるから」
「そっか」

 少しだけ話して、それから私は自分の荷物を持っていつものように言う。

「じゃあ、私もそろそろ帰ろうかな」
「おう、ちゃんと寝ろよ」
「鬼龍くんもね」

 私にとって、ここは大事な場所。

「おやすみなさい、鬼龍くん」
「おやすみ、水瀬」

 だからそれを自分のせいで壊さないように、傷つけないようにしたい。
 願ってかなうなら
 自分の家に帰ったら自分は独りなんだと痛感するから…

「ただいま、お父さん、お母さん」

 仏壇の前で手を合わせてはもういない両親に一日の話をする度に涙をこぼしそうになることも。
 手が届くことのないかつての両親と同じように光り輝くステージで笑ってる彼に異性として思いを寄せてることも。
 みんな誰も知らなくていいことなのだ…

「どうしたら手に入れれっかな…水瀬のこと…」

 鬼龍くんの気持ちはわからないけど、でも、きっと私は選ばないだろうな。
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