第1章 鶏のから揚げ
水瀬が作っているみそ汁の鍋から美味しそうな匂いがして思わず言葉が出た。豆腐、野菜を入れ、出汁と味噌の美味そうな香りがキッチンに漂ってくる。
俺も水瀬の隣に行って、フライパンに油を注いで温める。
「妹さん」
「なに?」
「大将と水瀬先輩っていつも一緒に料理してるんすか?」
「いつもじゃねぇよ? どっちかおそいときは一緒じゃねぇもん」
「遅くなかったら一緒なんすね」
水瀬が一緒だと夕飯の支度も早い。
油が温まったころに鶏もも肉をフライパンに入れていく。そうして鶏もも肉を油で揚げて、しっかり中まで火を通していく。
「ちはるちゃん、南雲くん、テーブルの上片付けもらっていい?」
「はーい」
「了解っす!」
支度ができたやつから水瀬がテーブルに持っていき、俺も揚げたてのからあげを大皿に盛り付けを終わらせてテーブルに持っていった。
「「「「いただきます」」」」
全部揃うと、みんな席について手を合わせて食べた。
「た、大将、これもしかして…」
「物は試しだ」
ニンジン嫌いの鉄のためにポテトサラダにニンジンを入れてみた。鉄は涙目だがこれも鉄のためだ、頑張れ。
「茹でるってそういうことね」
「まあな」
「うまーいっ」
「まだたくさんあるからゆっくり食えよ?」
「はーい」
笑顔で飯を美味そうに食う妹と鉄に、ゆっくりでも美味しそうに食べる水瀬。こんだけ笑顔に囲まれると俺も嬉しくなるもんだ。