第4章 グラタン
今日は水瀬もバイトで帰りが遅い。それに父ちゃんも珍しく夜勤だけの日で家にいた。
「紅郎、なんか手伝うか?」
「あ? 別に大丈夫だぞ? それよりちはると喋っててやれよ」
家に帰ってから俺は早速夕飯を作り始めた。今日は水瀬の好物のグラタンだ。
まずはホワイトソースを作るために野菜を切っていく。ブロッコリー、じゃがいも、ニンジン、玉ねぎ、あと鶏肉とソーセージも切っていった。
「なぁなぁ、きょうのゆうはんなんだ?」
「なんだ?」
「……グラタン」
「おぉっ、グラタンっ! あたし、すきぃっ!」
「俺も好きだぞー」
「いや、それは知ってるって」
「あ、あやちゃんに作るならコーンも入れておけよ?」
「コーン?」
「コーン入りが好きだって、水瀬パパが昔言ってた」
妹を抱っこしてキッチンを一緒にのぞき込む父ちゃんに応答しながら、俺は作業を進める。火が通りにくい野菜から鍋で炒めていき、順番に野菜を入れていった。
つか、コーン入りが好きって初めて聞いたが…そういや、水瀬が作るときはコーンも入ってたな。
「薄力粉?」
「あぁ、とろみがつくんだと」
次に一通り炒めたら、薄力粉を鍋に入れて全体になじませていく。その後に牛乳、コンソメ、隠し味の味噌を入れて、鍋の中をかき混ぜていく。とろみがついてきたらホワイトソースは完成だ。
「あとは皿に盛りつけて…」
「あたしチーズのせる!」
「じゃあ、父ちゃんはパン粉だな」
「…いつの間に持ってた?」
ホワイトソースを皿に盛っていくと、妹と父ちゃんがチーズとパン粉を乗せていった。あとはオーブンで30分くらい焼けば完成だ。その間に付け合わせのサラダを作った。
「あ? 紅郎、出かけるのか?」
「水瀬、迎えに行ってくる。あいつ今日バイトだからよ」
「ふーん?」
「なんだよ?」
「いや? お前も青春してんだなって」
妹と父ちゃんのを先に出して、俺は残り2皿をオーブンに突っ込んでから水瀬の迎えに向かった。