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幼馴染とおうちごはん

第4章 グラタン


「水瀬のバイトはいつも夜遅いのか?」
「なんだよ、藪から棒に」
「先週末に生徒会で遅くなった日に出くわしてな…」

 いきなり蓮巳から言われたことに驚いた。まさか水瀬のことで言われるとは思わなかった。
 前にバイトで帰りが遅いから家に来れないと連絡が来た日があったからそれかもな。言ってくれりゃ迎えに行ったのに。

「そんなに遅かったか?」
「9時は過ぎていたな。途中まで一緒に帰ったが」
「そりゃ世話かけちまったな。ありがとな」
「うちの生徒が夜道で何かあってからでは遅いからな。まあ、家庭の事情もあるのかもしれんが…」
「なんだ、普通科の生徒の情報も知ってんのかよ」
「ある程度はな。水瀬は一時期要注意人物だった」

 あ? どういうことだ。水瀬が生徒会に関わるようなことなんてないはずだろ。

「あいつになんかしようとしてたってことか?」
「本人にその気がないのがわかったから何もなかったがな」
「どういうことだよ?」
「水瀬の両親のことは知ってるか?」

 母親の方は知らねぇが、父親の方はたしか俳優をしていたはずだ。

「父親が俳優だってのは知ってる。俺も昔遊んでもらった」
「正確には夢ノ咲の卒業生で元人気アイドルの俳優だな。母親も実力のある歌手だったそうだ」
「……」
「それに祖母も女優として活躍していることから、水瀬が芸能界に関わる場合、その影響力が計り知れないからこそ、俺は警戒していた」

 あの婆ちゃん、そんなすごい人だったのか。いつも孫娘溺愛のところしか見てないから知らなかった。

「あと鬼龍と地元が一緒だから貴様の噂関係のことでも少しな…」
「いや、むしろ水瀬には迷惑かけっぱなしだったぞ」

 中学時代、何度か妹を人質にしたとか言われて喧嘩場に行った時には頑張って逃げようとする水瀬がいたり…他の学校の不良から逃げる水瀬を見かけたり…

「妹の送り迎えとか留守番頼んだりとか…」
「貴様、本当に水瀬に足を向けて寝られないな」
「本当にな」

――― 後悔するより大事なものをちゃんと抱えてなさいっ! ―――

 いつも俺は、あいつに助けられてばかりだ…

「…今日はあいつの好物を夕飯にするかな」
「そうしてやれ」
「おう、ありがとな」
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