第3章 サンドイッチ
ドンッ、ドンっ
「……」
「相当やべぇな」
一方水瀬は茹で上がった卵、ジャガイモ、ニンジンを順番に潰していた。
卵は潰し終えたら塩コショウとマヨネーズ、隠し味に少しの砂糖を入れて混ぜ合わせていた。
あとジャガイモは皮をむいてからニンジン、キュウリも一緒に入れて、こちらも塩コショウとマヨネーズを混ぜ合わせつつ潰していた。
その潰してる時の水瀬の表情は普段の可愛らしさはなく、無表情だった。こりゃ相当やばい状態だ。ここまで負い詰まってたか…終わったらどうにか落ち着かせねぇとな。
「肉焼いとくからな?」
「うん」
俺は味付けした鶏肉をフライパンで焼いた。醤油の香りが焼いた途端辺りに広がって、食欲がそそられる。焼けたらまな板に移して、サンドイッチのサイズに合わせて小さめに切っておく。
その間に水瀬も具の準備が終わったようだ。
「んじゃあ、挟んでいくか」
「そうだね」
食パンの耳は切り取り、食パンにマーガリンとハニーマスタードを塗ってから具を乗せて挟んでいった。
そうして大量のサンドイッチを作ると、一晩寝かせるためにキッチンペーパーと更に上から適当に本で重石をして作業を終了した。
「結構できたな」
「明日詰め込まないとね」
「でけぇランチボックス出さねぇとな」
後片付けを終えると、さすがの水瀬も眠そうだ。普段ならもう寝ていてもおかしくない時間だ、無理もない。
「水瀬、ちゃんと戸締りして寝ろよ?」
「ん。鬼龍くん、来てくれてありがとう」
「どういたしまして。そんじゃ、おやすみ」
「おやすみなさい」
玄関を出て、鍵がかかる音を確認してから俺は自分の家に入った。