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幼馴染とおうちごはん

第3章 サンドイッチ



「おーい。回覧板持ってきたぞってなにしてんだよ?」

 夜、回覧板を届けに水瀬の家に行くとキッチンでなにやら作業をしていた。

「ん? 回覧板はそのへんに置いといていいよ?」
「珍しいな、夜更かしなんてしないのに起きてるなんて」
「学院祭の準備でみんな帰り遅くなっちゃうでしょ? クラス用と演劇部用と斎宮くんに簡単なもの作ろうかなって」
「お前なぁ…ちょっとは休めよ。クラスの方でも仕切りもやって疲れてんだろ」

 宮間や戸倉に聞いた話によると、水瀬はクラスの出し物で責任者をしているらしい。衣装準備や出し物が喫茶店だからということでメニューの監修と練習まで見ているとのことだ。

「やるなら俺も手伝う」
「大丈夫だよ?」
「演劇部の衣装は俺が巻き込んじまったからよ、詫びに受け取ってくれや」
「…はぁ、わかった。じゃあ、お願いします」

 俺は水瀬から学院祭ではクラスでやる喫茶店で参加するとしか聞いてなかったから何をしてるのか知らなかった。実際忙しいのに更に演劇部で使う衣装の手伝いに巻き込んでしまったのだ、このくらい手伝わないといけないだろう。
 俺が言い出したら聞かないのはわかってるのか、水瀬はため息をつきながら了承した。

「で、何作る気だったんだ?」
「簡単にサンドイッチにしようかなって」
「にしては、食パンとか多くねぇか?」
「……ストレス発散」
「…なるほどな」

 とどのつまり、水瀬は疲れすぎて気が立ってしまったから思い切って作りまくることにしたらしい。
 とにかく俺たちはまずサンドイッチ用の具を作ることにした。まず野菜は水洗いをして水を切ってから、レタスは手でちぎり、ジャガイモとニンジンはざく切りにして卵と一緒に茹でておく。キュウリはも薄めに輪切りにしておいた。

「鬼龍くん、鬼龍くん、これ叩いて薄くして」
「お前、どんだけ作る気だ」
「できる分全部、かな」
「で、これ何にする気だ?」
「照り焼きチキンです」

 水瀬に渡されたのは鶏もも肉。これを一旦ビニール袋に入れて、伸ばし棒で叩いて薄く伸ばしていく。俺はある程度伸ばせたら袋の中に醤油、ハチミツ、すりおろしたショウガ、みりんを入れて肉に揉みこんでいった。
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