第9章 ~明智光秀~ end.
「ねぇ、ねぇ、なんか良いことあったんだよね?」
「なんだお前もいただろ?あの場に」
政宗に声をかけた。
「えっと、ちゃんと聞いてなくて……」
「はぁ~ほんっと、お前は呑気だな……ま、いい。それより今から買い出し付き合えよ」
「うん!そう思って政宗に声かけたんだー!私も何か作ろうと思って」
「そうか」
ニカッと笑う政宗。宴会料理は政宗が仕切って色々作ったりするから、見ているだけで楽しいんだよね~
で、時々、私も作りたくなるんだけど……
食材も道具も限られてるから、大変なんだけどねー。
でも、今夜はなんか光秀さんのお祝いみたいだし……
何か、酒のつまみになるようなものでも……
政宗と二人、長い廊下を歩いていると
「城下へ行くのか?」
秀吉さんだ。
「うん、今夜の宴で私も何か作ろと思って」
「そうか、楽しみにしてる」
そう言って頭を撫でてくれ……
うわっ
突然、後ろにグイッと引かれた。
ドンッとぶつかった時、ふわっと香った……
この香り……
「え?光秀さん……」
焦って振り返ると、澄ました顔の光秀さんが立っている。
けど……
「ち、ちょっと!どうして、衿を引っ張るんですかっ!?着崩れしちゃったじゃないですかーーー」
そう、光秀さんは後ろ衿を思いっきり引っ張ってきたから……
「いつも、よく崩れてるぞ?」
ニヤリと笑う光秀さん。
わ、わかってるよ、そんなのっ!!!
だって着物なんか、ここに来るまで着たことなんてなかったんだもんっ!!!
「きょうこ、直してやるから、こっちに」
秀吉さんが、近くの部屋に誘ってくれた。
すると光秀さんが、ぱっと私の手をとり、そのままスタスタと歩き出した。