第8章 ~織田信長~ end.
「俺を欲っしろ」
そんなもの、とっくにしてる。
何度目の夜だったんだろう……
ゆらゆらと揺れるロウソクの灯りで、優しい光に包まれた信長様にそう言われた時は、もう……
「ずっと……欲しかった……です」
「ふん。やっと素直になったか。貴様は存外に時間のかかる女子だ」
ニヤリと笑う信長様。
「はい」
あれ?もしかして、私の気持ちなんて、とっくにばれてると思ってたのに……
「貴様の心だけは、解りにくかったのだ」
「え……?」
「常に、にこにこと笑っているが……何を考えているか解らんところがあった」
……しまったな。ずっと演技してたからな。
心を曝け出すのが怖かったのもあるけど、、、
信長様一人に決める勇気がなくて、ずっと心の中に想いは閉じこめていたから……
「何が不安だ」
「私のいた時代は……複数の女性と夫婦の約束はしないんです……だけどきっと信長様は……私だけなんて……」
「なんだそのような事か」
ふんっと鼻で笑う信長様。
だよね、子供みたいだよね。そんなこと言うの。
しょんぼりして、でも、覚悟を決めようと思ったその時
「俺には貴様だけだ」
……
「え?」
思わず聞き返した。
「なんだ2度言わせたいのか?」
「え……」
これ、なんて返事していいのかわからない。
「俺には貴様……いや、きょうこ。お前だけだ」
…………
「何を泣いている」
……あ、ほんとだ。涙が出てる……
そうか……
「ありがとうございます。私も、信長様だけ……」
「当たり前だ。誰にもやらぬ。きょうこは俺だけを見ていればいい」
ギュッと抱きしめられた。
あぁ……やっと私達は……繋がるんだ……
心が震えるって、こんな時に使うのかな……
なんって思ってたら
信長様の顔が近付いてきた。