第5章 ~石田三成~ end. 【後編】
「……え……秀吉さん……?」
「秀吉様っ!!!お待ち下さい!!!その様な出で立ちでお産が済んだばかりの部屋には!!!」
家臣の方達が息を切らし、周りの女中達は息を飲んでいた。
当の秀吉さんは、真っ赤な顔で……肩で息をしている……
真っ赤……
よく見ると、きっと甲冑は途中で脱ぎ捨てたんだろう。身体の所々が赤く……
血に染まっている。
顔は……
濡れた血が乾いたんだろう……
真っ赤に染まり……
両の目の下には、二本の筋がくっきりとある。
「すまない……きょうこ……」
秀吉さんは、開いた襖の所でガクッと膝から落ち……
私に土下座をするように
手をついた。
その一瞬で私は悟ったのだ。
三成くんが、もう
この世にいないことを……