第3章 ~豊臣秀吉~ end.
「きょうこっっ!!!」
突然、厨に大きな声が響き渡った。
その声は秀吉さん。
「ここにいたのか」
そう言うが早いか抱き締めるが早いか……
今、私は秀吉さんの腕の中にいる。
う、嬉しいけど……
は、は、恥ずかしいっ!!!
「ひ、秀吉さん……」
そっと押し返すと
「あ、あぁ、すまない。夕餉は俺の部屋に運んでくれるか?行こう、きょうこ」
そう言うと私の手を握って引っ張って行くので、私は厨にいた皆にペコリと頭を下げた。
少し早歩きの秀吉さん。
何をそんなに焦っているんだろう……
秀吉さんの部屋に着いて二人っきりになると、思いっきりギュッと抱き締めてきた。
そうか……早く二人っきりになりたかったんだね……嬉しいな……私もだよ……
そんな思いを込めて、強く抱き締め返した。
「きょうこ、今日言ったこと覚えているか?」
「うん……」
「俺はずっとお前の事が好きだったんだ……妹なんて言ってしまったことを後悔するほどに、な」
「私も秀吉さんのこと、お兄ちゃんなんて見ることが出来なくなってきて、ほんと苦しかったんだ」
「そうか……もっと早くこうすれば良かったんだな」
「うん……」
私が頷くと、秀吉さんの顔が近くに来た。