蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第626章 追憶のキミ2-19
その頃の 翔 和也 智
翔「分からぬ……なぜ接吻などっ。何より分からぬのは私自身だ。どうしたら良いのだ? 和也っ智っ。私を助けてくれっ」
翔若様の
翔殿の
悲しき叫び……
翔『怖くてまらないのだっ。和也っ智っ。前日の記憶が翌日に消えてしまうのが……この先も付き合って行かなきゃならない現象なんだろうか? ……和也と智。雅紀様。潤。私達の事も含めて忘れたくないのだ。助けてくれっ』
智『翔君心配いらぬゆえ』
むしろ、私と和也殿の方が、うざがられるのでは? と不安です。と伝えて
和也『翔若様。何回でも話して差し上げます』
教えてくれとおっしゃられなくても、こちらからお話し致します。とお約束させて頂いて
──
しかし……
翔の部屋
翔「智。和也。なぜ毎晩来るのだ? 私は呼んではおらぬぞ」
和也「翔若様? お熱を出された日、お心内を私より先に潤殿に明かされたのが悲しくて……お小姓の私が貴方様を……ですが信じて下さい。私は心より翔若様をお慕いしております」
智「翔君……私と和也殿は己の愚かな振る舞いを後悔致しました。信じて欲しいのだ。翌朝、お慕いしていると伝えた想いを」
──
翌朝 。静かに涙されていた翔君
智『翔君。私は貴方を……お慕いしています。これからは翔君を支えて参りますゆえ』
翌朝 。静かに涙されていた翔若様
和也『翔若様……申し訳ございませんでした。私は貴方をお慕いしております。どうかこの先もお側に置いて下さいませ』
──
翔「和也。智。あの日の事は怒ってはおらぬ。そなた達が私を慕うている。そう申してくれて嬉しく思うたゆえ。そうだな。このままの状態に甘える訳にはいかぬな。私のわがままだ。この先そなた達と……誰とも添い遂げる事はせぬ」
「……」
「……」
瞬間、時が止まり、お互いに顔を見合わせて
和也「翔若様っ、なぜにございますか?」
智「翔君っ、なぜです?」
翔「なぜ? それはこちらが問いたい。なぜ察せぬのだ?」
智.和也「申し訳ございません。お教え下さい」
そう申し上げた瞬間、涙を溢された翔君
そう申し上げた瞬間、涙を溢された翔若様