蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第625章 追憶のキミ2-18
潤「 何が何だか気持ちが付いていきません…… 伝えるとおっしゃったのに、その様な行為をしながらというのが悲しくて。熱が下がった後に記憶を辿っても……ですから、奥方様を心良く迎える様にとおっしゃったのだと解釈して」
雅紀「潤。済まなかった」
潤「雅紀様が私をなど……想いを伝えるのに……いえ。私こそ間違っているのです。雅紀様が奥方様をお迎えする日までは……お迎えされた後は、もう雅紀様を受け入れたりしません。それまでは……奥方様。どうかお許し下さい。と自分に言い訳しながら……雅紀様を責めるなど、小姓としてもっての他です。お許し下さいっ」
しゃくりあげている潤を抱き 《いだき》
潤「雅紀様っ」
そう言いつつ、私の胸に顔を埋める潤が愛しくて
雅紀「潤。そなたを小姓としてではなく、一人の人間として愛してるのだ。そなたの言う通り、愛撫しながら想いを伝えるなど、あり得ぬ事だ。『信じろ』と言う方が間違っている……嫉妬したのだ」
潤「嫉妬?」
訳が分からない。とう様に顔を上げ、私を見つめた潤
雅紀「私に辛いと言わずに、翔の若君に打ち明けた上に二人で抱きしめ合っていた事に」
潤「翔若様は、私の父の事を謝って下さったのです。編み足 《おみあし》を悪くされた上、記憶が消えてしまわれる事に、怖い。とお泣きになられたのですよ? お苦しみの中、私の事を労って心配して下さったんです。おかしな事おっしゃらないで下さい……あ、あの……奥方に思われる方がいて、雅紀様が、わ、私を? ……それでは櫻井家は……」
慌てて私から離れ様とした潤を、引き寄せ
雅紀「心配いらぬ。潤。私は父母に思う人が。潤がいるゆえ妻を娶る 《めとる》訳にはと正直に申し上げたのだ。父母がそれを踏まえて選ばれたお相手で。『櫻井家の跡継ぎの事は考えるゆえ、潤を大切に』おっしゃって頂いた。潤の名前を出したの、事後承諾で済まぬな」
潤「……」
だから心配いらぬのだ。潤
呆然自失の潤に
チュっ
接吻をした……