蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第622章 追憶のキミ2-15
現在
今の、俺の想いがそこにあるのは。400年前と同じだから。天守閣の最上階から落とされた時に、眠りに就きながら必死に『忘れたくない!』と夢の中で思い出を繋ぎ合わせた想い
──
400年前
翔「怖くてまらないのだっ。和也っ智っ。前日の記憶が翌日に消えてしまうのが……この先も付き合って行かなきゃならない現象なんだろうか? ……和也と智。雅紀様。潤。私達の事も含めて忘れたくないのだ。助けてくれっ」
和也「翔若様っ……」
智「翔君っ……」
私の、繰り言に和也は左側から。智は右側から何も言わずに抱きしめてくれて
泣いてるのか? 智と和也が声を出さずに静かに涙してるのを感じたんだ
翔「智、和也……あの……」
智「翔君心配いらぬゆえ」
和也「翔若様。何回でも話して差し上げますゆえ」
朝起きて、皆の事を思いだす事なく。全ての思い出さえ消えて記憶から消えてなくなっていたら……
凄い焦燥感に襲われたんだ
翔「今の想いも、この先の想い出も。絶対に忘れたくは無い。思い出せずに不安で、何回も何回も『教えてくれ』と言っても……呆れて嫌いになら無いでくれ」
和也「私と智殿が、翔若様をお嫌いになるなど、ないではありませんではありませんか? 教えてくれとおっしゃられなくても、こちらからお話し致します」
智「むしろ、私と和也殿の方が、うざがられるのでは? と不安です。雅紀殿に潤殿も翔君をお嫌いに……なんてありませんよ」
翔「ありがとう……和也。智」
──
現在
目覚めた時と同じ想い。同じセリフだ……
──
400年後
翔「可哀相に……潤は辛いな……『雅紀様と新しき奥方様を一生懸命支えて行きたい 思います』と。健気に……父上と、雅紀様がお決めになった事とはいえ。私は『ありがとう潤 。この先は私も雅紀様を支えていくゆえ。 五人でこの桜の国をより良くして行こう』そう伝えるしかなくて」