蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第616章 追憶のキミ2-9
薄暗い櫓の隅、膝を抱えて涙していた潤
翔「すまない潤……なぜ泣いているのだ? ではないな。私の為にそなたの父親を……」
私が言い掛けると、膝から涙に濡れた顔を上げ
潤「翔若様! 父が島流しになったのは、己の責任です! 私こそ謝らねばなりません。翔若様は、拉致された挙げ句に、階段より落とされたのですよ? 翔若様が雅紀様、和也殿、智殿。果ては私に謝る必要など無いのです」
翔「そんな風に言ってくれて私は……それなら、聞いて良いのか? なぜ?」
必死に、瞳に溜まった涙をこぼすまい。と我慢するかのように唇を軽く噛む潤。しかし涙が一粒右目から落ちた瞬間
潤「殿様が『この先、櫻井家の跡を継ぐ者として。雅紀に嫁を迎える事としよう』そう仰られたのです」
翔「そうか……」
潤は、雅紀様を慕うているのか? などと確認せずとも……二人の醸し出す雰囲気を見れば分かる
潤とは、私が一歳七ヶ月上《私は睦月。潤は葉月》弟のように感じていた。 残念ながら立場上。潤の方から甘えるという事は出きぬのだろうが。その関係を取り払えば、とても仲の良い兄弟なれそうだと思っていたのだ
私と雅紀様は、 母の違う、一月 《ひとつき》しか生まれ月の違わない兄と弟《雅紀様は師走生まれ》 複雑な周りの者達の思惑さえなければ…… 何度も言うが、文のやり取りだけではなく 、逢いたい。共に桜の国 守って行けたら良いのにと思っていた
和也は、潤と同い年。私が一歳五ヶ月上 《和也は水無月生まれ》乳兄弟 《乳母の息子》の和也。 いるのが当たり前の存在 。弟……しっかりしている為に兄のように感じる事もある、 私の一番の理解者
智は 《霜月生まれ》 私より三歳離れていて、出逢ってからの日数は少ないかもしれない。しかし、 いつも優しく見守ってくれる。安心感を与えてくれる。兄のような存在であった