蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第563章 エースの涙 2-1
-ドゥウン!-
「いっ…」
-ドサッ-
医者『左腕上腕部骨折してますね。手術で元通りになっても野球は… リハビリで日常生活は支障無い位に回復…』
(…)
「…ワーっ!」
--
和也.智side
翔「…ワーっ!」
智「翔ちゃん!?」
和也「翔ちゃん!?」
翔「ハァハァハァ…うっ」
夢…見たんだね?翔ちゃん
翔ちゃんの実力なら、 山風(やまかぜ)学園高等学校は甲子園も夢じゃないって言われてた
翔ちゃんは、昨年一年生の時、野球部の先輩である二年の橋本に 、一方的な好意を抱かれた挙げ句
襲われそうに…
拒絶した事に加えて、エースの座を追われた事に対する逆恨みから、その日以来嫌がらせされ続けた
翔ちゃん
理不尽過ぎるよ
そして…あの練習試合の日の悪夢
橋本のデッドボールにより、翔ちゃんは可哀想に…左腕上腕部骨折野球の道を絶たれてしまったんだ…
智「翔ちゃん?大丈夫?腕痛い?マッサージしてあげるね」
和也「翔ちゃん、 すごい汗…タオルで拭いてあげますね」
翔ちゃんの涙…
あの事故の直後は、翔ちゃん、意外とサバサバしていて拍子抜けすらしたのに
時間経つにつれて
天気の悪い日は、腕に違和感が生じたり
時に今みたいに、悪夢に魘されて
涙したりする日が増えて来たんだ…
可哀想過ぎるよ
オイラは、お湯で温めたタオルで翔ちゃんの綺麗な身体を拭きながら
俺は、翔ちゃんの筋肉の落ちてしまった左腕をマッサージしながら
悲しくて
悔しくて
涙が滲んだんだ…