蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第266章 追憶のキミ 29
-北の対の屋- に近い城の 修復箇所
翔と智
(この様な場所に来る様な方には到底見えないな…)
智「又来られたのですか?翔君?」
翔「翔君って… 私はお小姓だと申したではありませんか。智殿」
先日、初めて合った日も、今日も。着物がお小姓には見えないがな。翔と名乗られた、この御仁は…
和也「翔… 殿… 今日は?お小姓が、御主君のお側を離れて良いのか?」
翔「…少し位は… 智殿?とても丁寧に漆喰を塗られて、私も将来は左官職人になるかな?」
(翔若君…)
この城へ修復の為に来てから、日は浅いのだが… 噂と言うのは… 色々入って来るもので…
智「翔殿… 御主君が悲しむのでは無いのか?その様な事、申しては…」
(翔若君… 半分本気で言われたのか… お小姓と名乗られた事を、失念する位に…)
翔「あ… で、でも… 和也は… 様は… 私の事等…」
(翔若君… 素直さと、警戒心… 疑念を抱きながら生きておられるお方…)
そして。和也殿が私の事を、探りに来た日、羨ましくなる位に、翔若君と、和也殿は、お互いに大切に思っていて…
智「翔殿、和也殿は… 先日、貴方様がお姿を隠された時… あの後、話す機会があったのだが。心のから貴方様を思い、心配されていた。この前貴方様は『私の事等』と申されましたが、翔殿『和也は、私の事を理解してくれている』そう申された事を信じなさい。心配無いゆえ」
そう伝えると、涙されて
翔「ありがとう。智殿」
と…
美しい微笑みを…
私は… 翔若君に、ここまで思われる和也殿が羨ましくなったんだ…