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蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )

第261章 追憶のキミ 24


 ○○城 本丸御殿 西の対屋(タイノヤ)

『蘭の方様、正室の櫻の方のお産みになられた若君は、お身体も弱くこの国を治めるには… 側室とは言え… 蘭の方様…』

『兄上… そのような事軽々しく口になさるのは、辞めて下さりませ…』


 西の対屋から、聞こえて来た声…


 翔 (もう何度も私は、家督を継ぐ事に、何のこだわりも無いと申し上げているのに…)
 

和也「翔若様!良かった… いらっしゃった。翔若様!何故こちらの対の屋(タイノヤ)の方におられるのですか?」

翔「昨日無くした蹴鞠(ケマリ)を、探していたらこちらの対屋にで見つけたのだ…」

和也「翔若様!そのような事、我々家臣に…」

翔「和也… 北の対屋に戻りながら話そう。私は 己の事は己で出来る様になりたいのだ。何でもかんでも家臣任せにしていたら、将来生きて行くのに困るではないか」


 -北の対の屋-

 (翔若様は、十七の年になるお方で。我が◎◎国… イヤ… 将来、日の本の国を治める。器量と才覚をお持ちのお方なのだが…)


『櫻の方様、側室の蘭の方のお産みになられた雅紀様に、この国を治めさせる等… 正室の、櫻の方様のお産みになられた、翔若様が継がれるのが筋なのです!何を気弱な事を…』

『兄上… そのような事軽々しく口になさるのは、辞めて下さりませ…』

翔「和也… ここにも愚かな妄執に捕らわれた者がいたな… 私は身体が弱いゆえ… 雅紀君が継がれる事が… 母上も私が継ぐ事に拘ってはおられないのに… 」

和也「翔若様…」

 (家臣の… 正室の櫻の方様に、側室の蘭の方様の… 二人の兄の愚かな争い… それより私には翔若様が、少しばかりお身体が弱いという事をお嘆きなのが… 辛かった… 美しくて、気高く、賢い翔若様…)


 


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