第179章 エースの涙 6

　翔「これ見てさ二宮。自分の投球フォームで何か感じる事ある？」

　ノートパソコンを見せながら

　確かに。櫻井先輩、昨日俺達四人の新入部員の事一人一人撮ってんな？　

　とは思ってたけど

　今日も、自分の練習の合間に時々カメラ回していたなっ。て


　和也「漠然とですけど、 フォームがバラバラ？」

　翔「じゃあさ足元の映像見てみ？」


　そう言って、俺のピッチングフォームを録画したものを見せながら

　翔「軸足の右足には殆んどブレが無いんだけどさ。左足、高く足あげて地面に降ろした時の土の状態どうなってる？」

　和也「足跡がてんでバラバラなところに付いてる？」

　翔「そういう事。 二宮。野球が好きなの伝わってくるし俺と同じピッチャーですげぇ将来楽しみだな。って。飽く迄参考だからね？　俺のフォームもまだまだ未完成だからさ恥ずかしいんだけど……」

　そう言って、櫻井先輩。自分の投球フォームのビデオ見せてくれたけど

　和也「左足の裏を着いた位置…… ほぼ同じ所に足跡が凄いです。俺、こんなに自分の事をきちんと見てくれてアドバイスしてくれた人初めてっていうか…… 凄い嬉しくて。あの……」


　俺ハッキリ言って、自分の事とやかく言ってくる人苦手なんだけどさ

　櫻井先輩の言葉は、素直に入ってきたと言うか……

　和也「それに。俺の名前とかも覚えてて下さって。本当に本日はありがとうございました。櫻井先輩」

　翔「名前は、新入部員四人だからていうのもあるけど。真面目な話さ。二宮と大野。二人は特に印象に残ったって言うか。玉が違うなって。これからも新生野球部の為に力を貸してくれるかな？　ピッチングだけなら 多少はアドバイス出来るんじゃないかな？ナンテ、偉そうに言ってごめんな（笑）」

　和也「いえ、そんな事言ったら俺、本気にして。事ある毎にアドバイス貰いに行くと思いますんで。覚悟しといて下さいね？（笑）」

　翔「アハハハハ!」

　俺の返しに、大爆笑してくれて


　その後はね、本当、事ある毎に櫻井先輩にアドバイスを求めに行く事になるんだけどさ。（笑）


　大野か……

　確かに…… 彼、面白い逸材だよね……


　櫻井先輩が気に掛けていると言う

　大野智という人間

　俺の中でも、意識しだした最初の日だと思うんだ