蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第156章 秘密の館の秘密の住人 6
和也に、話す前に翔に会いたい
私は、館に戻ると、私の部屋にある本棚を開き
石造りの階段を上って
ーコンッコココンー
頭上の壁を叩き、合図を送ると
ーコンッコココンー
合図が、返って来て
智「翔!」
翔「智くん! 来てくれたの?」
眩しい位の、美しい笑顔で迎えてくれて
智「元気にしてたか? 翔」
翔「うん! 智くん! ねぇ、絵を描いてくれる? 僕智くんの描いてくれる絵が大好きなの!」
この館の、ある一室に住んでいる少年
実は、私が自室に住み始めたのは、半年前
父の命令で、部屋を移ったんだけど
部屋に住み始めて、すぐに気付いたんだ
なんとなく天井の方で物音がすると
そしてある時、この部屋に来る秘密の扉を見つけて
先程の様に、合図した所……
それ以来、翔に会いに来ているのだが
叔父上の言う通り、気を付け無いとな
智「良いよ!」
こんな風に翔と、過ごすのが私は楽しみになったんだ
ーその夜ー
智「和也…… 翔は…… 私の腹違いの弟。母親の違う…… 父が愛人に産ませた子供だったんだ……」
和也「そうですか……」
叔父上から、聞いた真実……
私の父親は…… 母上を裏切った?
勝手に溢れ出してくる涙を、止める事が出来無い私を見つめ
和也は、一緒になって涙してくれたんだ……