蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第155章 秘密の館の秘密の住人 5
数時間前
潤の離れ
潤「すまない。呼び出したりして……」
智「叔父上、なぜそんなにお優しいんですか? 謝らなければならないのは、私達親子だというのに……」
潤「確かに。兄は、一言あってしかるべきとは思うけれど…… 智は何も関係無いでは無いか…… 優しい子だな」
智「叔父上……」
潤「早速、本題に入って悪いが、私は大野家を継ぐ気持ちは更々無いし、雅紀には、伸び伸びと育って貰いたいんだ。元々、姉上と共に生活していた村だからな。村で生活出来る事楽しみにしているんだよ。二人。そうなると智が心配で……」
智「良いのです。それが私の運命と思っていますから……」
潤「……そうか…… 和也にも話したのだけど、あの館にはもう一人、運命を背負った者がいると、気付いているのだろう?」
智「はい……」
潤「……という訳で。あの子は…… そなたと和也に、翔の事を頼みたいのだ。まあ、既に心を通わせているみたいだけど。兄上に気付かれない様にな。と言っても…… 兄上に交流を反対する事は出来無いはずだけどね?」
今まで、疑問に思っていた事を、初めて私は、叔父上から聞いたのだが……
叔父上は、和也に、私と翔の関係を話して良いと
無性に翔会いたくなって来た
帰って翔に、会いに行こう
雅紀「ただいま! あれ? 智さん、来てたの?」
智「うん。どこ行ってたの雅紀?」
雅紀「村! 俺ね。今までお世話になって申し訳無いけど、お屋敷には居場所無いな。って感じてたんだけどさ、村の人達とね、話したり…… 今もね、鶏と遊んで来たの! すげー楽しかった! これからの生活の方が、俺楽しみなんだ!」
智「さすが雅紀…… 順応力高いね……」
大野家は、村の大地主みたいな事もしていて
雅紀の母親
私の叔母上は、村の小料理屋の男性に嫁いで 顔馴染みだからかもしれないけど……
羨ましいな…… 雅紀……
父に、半分追い出される形でありながら、なんだか自由を楽しみにしている
叔父上と、雅紀が羨ましくて
尚更早く帰って、翔に会いたくなった
早く帰ろう
けど、考えたら、私より翔の方が、辛い境遇なのではないか?
どうしたら、自由にしてあげられるんだろう?
私は帰る道すがらそんな事を考えたんだ