蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第664章 涼やかな風.美しき優しい華(花)たちへ 2-3
和也side
五人で新たに始めたケーキ&カフェ 『フリージア』
水曜日定休
カフェと銘打っているからにはね、 五人でケーキだけを作る。では店は成り立たないからね。ホール担当も必要なわけで。
毎晩じゃんけんで、 翌日の厨房担当三人、ホール担当二人を決める事にしたんだ。
翔「昨日の晩、疲れて売り上げを帳簿に付けるのサボったから付けなきゃ。少し抜けていい?」
船出して二日間、翔ちゃんはホール担当で三日目に厨房担当になったんだけど。
確かに帳簿付けもさ、しなきゃなんだよね……それに、翔ちゃんは計算に強いしな。
和也.智.雅紀.潤「お願いしまーす!」
って、お願いちゃったんだよね。
智side
1月末
気が付いたらそれが状態化してたんだよね。
いつの間にか翔ちゃん以外の四人が、 厨房とホールに分かれて店を回すようになってたんだ。
イヤ……1月初め翔ちゃんが、美優花さん、涼優花ちゃん、風優花ちゃんのお墓参りに行った日……
『何で、いつもイチイチ俺にどうしたら良い? って聞くんだよ?』
って、 言ったあの日から、翔ちゃんには変化が現れたんだよね? 雅紀さん、潤さん、カズもオイラもご家族との時間を過ごして来て、 心を揺さぶられた事ともあっただろうし、デリケートな問題だから聞かないでおこう。と思って。
オマケに、翔ちゃんが帳簿付けが得意だし、ハッキリ言って苦手な皆……皆はどうか知らないけど、計算が苦手なオイラは"ありがたい"って翔ちゃんに任せてしまってたんだ。
翔ちゃんが
「ちょっと出かけて来る」
そう言って出掛けて、お客様も引い タイミングで。
和也「翔ちゃんに甘え過ぎてますよね。俺達」
潤「 今日の夜もう一度良く話し合いしよう」
雅紀「翔は、ケーキを作る事止めたって感じだよな」
智「翔ちゃんの中で何が起きたんだろう?」
そう。オイラ達皆、翔ちゃんが帳簿付けが間に合わなくて厨房に入らなくなったんじゃない。と気が付いてた。
和也「翔ちゃん、何に苦しんでるんだろ……」
カズの苦し気な呟き……それは、雅紀さんと潤さん、オイラも一緒の想い……
(翔ちゃん? 何があったの?)