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鏡面【ONE PIECE】

第6章 新しい家族


「私を産んだお母さんのことは覚えてないけど、船の皆んなが家族だから寂しくなかった。皆んな私を娘として可愛がってくれる。だから、私も皆んなを守れるくらい強くなりたいのよ」
「……地上で同年代の子供たちみたいに生活したいと思ったことないのかい」
「うーん、あるけど、海の上が好きだからなァ……すぐ飽きちゃいそう」
「ハハ、そうかい。海が好きなんだな」
「うん、勿論。だから海賊なんてやってるんでしょ」
 ま、悪魔の実のせいでおちおち海に入れなくなったけど、と言いながらベッドに寝転ぶフレイアに同意を示しながらマルコが笑った、その時だった。
「マルコ!!」
 穏やかな笑いを遮るように勢いよく開いた扉。珍しく真剣な眼差しで、自分の相棒である長刀を持っているエルトンにマルコの目つきが変わった。
「敵か」
「オヤジが全員集合って」
「今行くよい……フレイア、お前はここにいろ」
「……」
「フレイア」
 不服と顔に書いてある少女をみてマルコは溜息をつく。
「……」
「部屋に鍵かけていくからな」
 早口でそう言い残して医務室を出ていく。この医務室は内側からも外側からも鍵がなければ開かない。脱走者防止の仕組みが役に立つと思いながら、マルコが鍵をしめる。ガチャリと鍵のかかる音がいやに重く響いた。
「……誰も返事してないもん」
 遠ざかっていく足音を聞きながら、フレイアは両手を目の前にかざした。
(長さ、重さ、刃紋、切れ味、鞘を含めての重さも何もかも……正確に思い出す)
 父親に渡されてから毎日振っていた。例え数百本の中から選べと言われても見つけ出せる自信がある。
 頭の中で作ったイメージのまま手を握ると、強い光と共に手の中に見慣れた刀が握られていた。鞘から出して見ても、記憶の中のそれと相違ない。
「……出来た。でも遅い。もっと一瞬でイメージを固めないと」
(あと体力が削れる)
 疲労感を誤魔化すように深呼吸すると、上の方から地響きや叫び声が聞こえてきた。戦いは始まっているらしいと分かって、フレイアは扉の前に走っていく。
「あとで直すのは手伝います!」
 久々の重さに高揚感を感じながら扉に向かって刀を抜く。風を切る鋭い音と、バリッという音を残して扉のが割れた。
「うーん、やっぱりブランクがある」
 断面を見て顔をしかめるも、すぐに切り替えて甲板に足を進めた。

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