第15章 背中を追うこと、隣に立つこと
どこまでも静かに別れの言葉を口にするエースに周囲の者達は聞き入っていた。
「……昔誓い合った通り、おれの人生に悔いはない……!」
「……ウソだ! ウソつけ!!」
「ウソじゃねェ……!! おれが本当に欲しかったものは、どうやら”名声”なんかじゃなかったんだ……『おれは生まれてきても良かったのか』……欲しかったのはその答えだった」
荒く呼吸を繰り返しながら、エースは渾身の力を振り絞って喋り続ける。
「もう大声もでねェ……ルフィ、おれがこれから言う言葉を……お前、あとからみんなに伝えてくれ……」
一度息を飲んだエースは、涙を堪えながらも言葉を振り絞る。
「オヤジ……! みんな……! そしてルフィ……今日までこんなどうしようもねェおれを、鬼の血を引くこのおれを……! 愛してくれてありがとう!!!」
最後の言葉を残し、エースは地に臥した。地面で消えいくビブルカードが、彼の命が消えたことを告げる。それを見たルフィは感情の奔流に耐えきれず、意識を失った。