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鏡面【ONE PIECE】

第6章 新しい家族


「負けると分かって、僕があいつとクルーの十数人を無理やり逃した。囮になって死ぬ気で、時間稼ぎの為に死にものぐるいになって、そろそろ年貢の納め時かって時に……あいつがオヤジ引き連れて戻ってきたんだ」
「え、なんでそこで白ひげが出てくるの」
 予想外の展開にフレイアが目を白黒させると、レオーラは視線をエルトンに戻した。気を取り直してフレイアの服を物色する彼は目を輝かせて心底楽しそうに笑っている。
「さぁ」
「え?」
「取引した……ってオヤジからは聞いてる。内容は知らない。僕が差し出せるものなんて、自分の命しかなかったし、そのまま航海するにはクルーを失いすぎたから揃って白ひげ海賊団に入っちゃったわけ」
「……」
「ね、いざという時の行動力は最強だろ?」
「貴方はそれで納得したの?」
「そうだねェ……今は納得してる。当時は僕はあいつ以外の船長なんてって反発もしてたけど、結局オヤジには勝てないから。強さとかそんなもんじゃなくて、色々とさ」
「……そう。ありがとう話してくれて」
 満足した、とばかりにエルトンの方へ歩き出そうとしたフレイアの肩をレオーラが掴んだ。
「僕からも質問していい?」
「何?」
「君はどうして、船において欲しいってオヤジに言えたの」
「……」
「目を覚まして直ぐに、そんな判断ができたの」
「……私は死ぬわけにいかない。生きるのに最善の道を考えただけ。生きて、大好きな家族にまた会いたかったから」
「……そう」
 レオーラの手がゆっくり離れていく。フレイアは何も言わずにエルトンの元に走っていった。その背中を見るレオーラは軽く息を吐いた。
「……子供が子供でいられる時間は限られてるのに、勿体ない子だよねェ……」

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