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鏡面【ONE PIECE】

第1章 見習いトリオ


「あ、フレイア! ちょうど良かった」
「ミーさん……手が足りない?」
 バギーを探して船内をぶらぶら歩いていると、食材を抱えたミランダに呼び止められた。どうした、と聞くまでもなく頼まれることは一つだろうとフレイアはミランダの持っていた籠を一つ持つ。
「ごめんねシャン」
「いや、バギーはおれが適当に探しておく」
「うん」
 シャンクスと別れて厨房に入ると、宴に一人でも参加させたいというミランダの計らいか、殆ど人はいなかった。
「交代で遊ばせようと思ってたんだげどね、一度解き放つと殆ど酒に飲まれて戻ってこないのさ」
「ミーさんはいいの?」
「私は飲みながら作ってるからいいんだよ。フレイアも手伝いは少しでいいからね」
「でも……」
「いいよ。帰ってこない連中を引きずってくるから。それまで少し厨房を任せたいだけだからね」
「はーい」
(本当に引きずって帰ってくるわね)
 ロープを片手に肩を鳴らしながら出て行ったミランダを見て静かに手を合わせる。そして、腕をまくると数人のクルーと話し合いながら手際よく調理を進め始めた。


 30分程たって、酒で顔を赤くした5人のクルーを縛り上げて担いできたミランダは直ぐにフレイアの手から包丁を取り上げた。
「ほら、行っておいで。シャンクスとバギーなら甲板で仲良く黄昏てたよ」
「あの二人が!?」
 それは見逃せない、とフレイアはエプロンを外した。彼女がすぐ出ていきたがる情報をわざわざ仕入れてくるあたり、当番外で働かせたことを少し気に病んでいたのだろう。まったく気にする必要ないのにな、と笑いながらフレイアは甲板のほうへ走っていった。


「へへっ!! 相変わらずバカなこと言ってやがる」
「あんだと!?」
 甲板に出ると、椅子に座って仲良さげに話すバギーとシャンクスの声が聞こえてくる。
「なに、何の話?」
「わああ!?」
「お、フレイア、仕事は終わったか?」
 その背後に気配を殺して近づいて声をかける。大袈裟に仰け反った拍子に背中からひっくり返ったバギーを尻目に、シャンクスが呑気な様子で口を開く。
「うん」
「お前な! 無駄に気配を消すんじゃねェ!!」
「バギーのリアクションが面白いからつい」
「確信犯か!! シャンクスも笑ってんじゃねェ!!」
 
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