第5章 解けた先に交わるものもある
「生きてんのか?」
「当たり前だろい。死体に治療するような趣味はねェよ」
「しかし、本当にロジャーのところの小娘か……エッド・ウォーからかなり離れてるからな」
「電話して、吉と出るか凶と出るか」
眠り続けるフレイアを取り囲むマルコ、エルトン、白ひげの三名。マルコは緊張した面持ちで手に持った電伝虫を操作する。
「……」
「……」
「出ねェな」
「まだ海軍かシキから逃げてる途中かもしれねェな」
「ああ、可能性は」
『フレイアか!?』
油断した矢先に繋がり、唐突に大声が聞こえてきて思わずマルコが電伝虫を遠ざけた。
「この声、赤い髪の小増だな」
「フレイアってこの子か?」
『そこにいるのか!? つーか誰だお前ら!」
「落ち着け。おれ達は蒼い髪の女の子を拾っただけだよい」
『それは、アリガトウゴザイマス……生きてるのか!?』
「命に別状はないよ。とにかく、お前じゃ埒があかねェから」
『おいシャンクス! お前そんなところで何やってんだ!?ファイさんが暴れて手が付けらんねェ上に油断出来ねェ状況なのにサボってんじゃねェぞバカ!!』
『おーいバギー! フレイアを拾ったって奴から電話来ててよ』
『おま、何で勝手に電話でてんだ! つーか誰なんだよ一体!』
『さァ……なんかよいよい言ってるけど、なんか聞き覚えのある声なんだよなァ』
「……オヤジ、一回切っていいかい?」
電話の向こうから聞こえてくる会話に疲れたマルコが視線を白ひげに向けると、白ひげは笑って手を差し出した。その大きな手には玩具のような電伝虫を乗せると、背後で大笑いしているエルトンを蹴り飛ばす。
「おい、小僧共」
『ひっ』
「ロジャーかレイリーの奴を出せ」
『え、この声って』
「さっさとしやがれアホンダラ」
『はいいい!!!』
「あ、バギー待てよ。ちょ、ちょっと待って下さい!」
それきり沈黙した電伝虫に白ひげが鼻を鳴らす。エルトンにヘッドロックをかけていたマルコは、ようやく話が進みそうな気配を感じて手を離した。
「おま、殺す気か!」
「うるせェよい。レオーラが島の調査に出てるからって調子に乗りやがって」
「だってお前、よいよい……」
「……」
「ああ、マルコストップ!!」
「お前達も同じじゃねェか」
グラララと笑う白ひげを見て、二人は顔を見合わせて大人しく並んで床に座った。