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鏡面【ONE PIECE】

第5章 解けた先に交わるものもある


「うわァ……」
「何隻あるんだこれ」
「オイオイオイ! え、これに挑むって言ってんのか!? 正気かよ船長!!」
 甲板に出てすぐ、ファイの言う「面白い」の意味がわかって、三人がそれぞれの反応を見せる。
 空は黒い雲に覆われ、薄暗い海一面に金獅子の海賊旗を掲げた船が所狭しと並んでいる。後ろにも沢山の気配を感じて囲まれていることを察すると、フレイアは下ろしていた髪を黙って括った。
「流石に金獅子は多いなァ」
「そうね。私達よりオーロ・ジャクソンが保つか不安よ」
「ハハ、まぁ大丈夫だろ。ファイさんが暴れても沈まなかったって話だし」
「てめェらまとめて頭お花畑か!! 船より命が危ねェよこれ!」
 呑気に会話するフレイアとシャンクスにバギーが焦りを露わにして叫ぶも、二人は「騒いでもどうにもならない」と声を揃えて応えた。一人大騒ぎをしながら、船内から出てきた大人達に片っ端から泣きつくバギーを見てやれやれとフレイアは嘆息する。
(まぁ元気があるのはいいことか)
「クロッカスさん、船長の容体はどうだ!? 戦わねェ方がいいよな! ドクターストップかけてくれ」
 最終手段だとばかりに船医に叫ぶも、当のクロッカスは肩を鳴らしながら笑う。
「生憎だが絶好調だ」
「諦めろ。長ェ付き合いだが、おれ達がロジャーを止められた事はねェ!」
 今度はレイリーに飛びつこうとしたバギーの帽子を掴んで止めながらギャバンも笑う。そんなバギーを一瞥すると、レイリーは船首で叫んでいる船長を見ながら口を開く。
「トムの船、オーロ・ジャクソンを信じろ……ロジャーにはもう時間がない……!」
 レイリーの言葉に、フレイアは唇を噛みながら船首に立つ大きな後ろ姿を見た。
「おれは"支配"には興味がねェんだよ、シキ!! やりてェ様にやらねェと海賊やってる意味がねェだろ? どんな圧力をかけて来ようともお前の申し出は断る!! 金獅子ィ!!」
「ハハハ、やっぱりカッコいいなァ船長は」
 後ろでレイリーに邪魔だと怒られているバギーを回収しながら、フレイアは笑う。生まれた時から前にあった、常に安心感を与えてくれた背中の1つは、有事の際に誰より大きく見える。
「つまりその答えは、今ここで殺してくれという意味だよな!!?」
「てめェら全員叩き潰すって意味だよ!!」


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