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鏡面【ONE PIECE】

第5章 解けた先に交わるものもある


 妙な胸騒ぎがしてフレイアは目を覚ました。時計を見ると、普段の起床より2時間近く早く、船の中は静まり返っている。
「……ミーさんは起きてるか」
 目をつぶっても眠れる気がしなくて、フレイアは身体を起こして支度を始めた。そうしている間も、落ち着かないような不安感がドロドロと胸の奥を渦巻いている。無意識に胸元の指輪を握り締めながら深呼吸すると、心なしか楽になったような気がした。
(お父さんの気持ちが分かるな……)
 力なく笑って廊下に出ると、食堂に向かって歩を進める。近づくにつれて、食堂に数人が集まっている気配を感じて立ち止まった。
「……船長、副船長、ミーさんかな」
 何か大切な話をしているなら、行かない方がいいかもしれない。少しの間考えて、結局足を再び動かした。

「おはようございます」
「あれ、早いね今日は」
「なんだか起きちゃって……」
 湯気を立てるカップを持って顔を付き合わせていた3人。誰がいるかまで読み取れたことに内心喜びながら、その輪の中に入っていった。
「なんだ、怖い夢でも見たか?」
「うーん、夢は見た覚えがないんだけど。落ち着かなくて……嫌な感じ」
 顔をしかめるフレイアにレイリーも怪訝な顔を見せる。昔からフレイアが嫌な予感がするということが時々あった。個人的なものから船全体に関わることまで規模の程度はまちまちだが、外れることは稀だ。
「天候が怪しいが、そういうことではないのか」
「うーん、どうなんだろう。前までは海に聞いたら、天候のこととかは教えてくれたりしたんだけどなァ……」
「海は天候も分かるのか? 便利だな」
「聞かないと応えてくれないし、気紛れなグランドラインの天候だから参考程度にしかならないけどね」
 ミランダが差し出したココアに礼を言いながら口をつけると、体が温まってフレイアの頰に笑みが浮かぶ。その様子を温かな目で見つめる三人に気付いて、少し照れたように視線を外す。
「なんだァ今更、恥ずかしがることないだろ」
「いつまでも子供扱いしないでよ。もう10歳だからね!」
「子供だろ」
「子供だな」
「子供だねェ」
「もう!!」
 拗ねて唇を尖らせるフレイアに大人達は笑い声をあげた。どんなに大きくなっても、彼らにとっては永遠に子供なんだろうと悟ってフレイアは溜息をついた。
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