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鏡面【ONE PIECE】

第1章 見習いトリオ


「レイさん助けてください」
「……お前たちは三人揃うと更に問題を誘発するらしいな」
 倉庫で暴れられては面倒だと、強引にシャンクスとバギーを甲板まで引きずってきたフレイアは、都合よくその場にいたレイリーに二人を引き渡した。
「何を揉めてるんだ」
「私がたまたま発した南極と北極どっちが寒いのかって疑問で意見が割れました」
「……」
 心底面倒だとばかりに額をおさえるレイリーのため、もっとコーヒーを美味しく淹れられるようになろうと決意する。
(正直北極や南極よりもグランドラインにある冬島の方がよっぽど寒そう)
 二人そろってレイリーの拳骨を落とされているのを見ながら静かにそう考えていると、頭の中で声が響いてきた。
「……敵?」
 ボソリと呟いたフレイアの声に、レイリーが目を細めると同時に見張り台から敵襲を知らせる声が響き渡った。
「よォし!! 迎えうて!!」
「戦闘だ!!!」
 血気盛んな声と共にカットラスを抜く音が甲板中で聞こえる。大人達に遅れまじと、先程の喧嘩は忘れたように敵船を見据えるシャンクスとバギー。その隣で落ち着きなく辺りを見渡すフレイアの後ろから、静かに日本刀が差し出される。
「探し物はこれか?」
「ありがとう」
「メンテナンスは終わった。思う存分に振るって来い」
 父であるファイから受け取った身の丈より長い日本刀を背負うと、慣れた手つきで鞘から抜き取る。薄っすら笑みを浮かべながら前を見据える娘を見て、ファイも自らの相棒を構えた。
「シャン、バギー、どっちが多くやれるか勝負しない?」
「おお、いいぞ」
「負けたら夜中の見張りな」
「乗った」
 賭けが成立するな否や、殿を走って行ったファイに遅れずとフレイアがパーカーのフードを被って飛び出した。
「抜け駆けすんな!」
 遅れて甲板を蹴った二人も負けじと手の中のナイフとカットラスを敵船に向ける。
「ハハハ、ガキ共が威勢がいいな」
「全く……」
 粗削りながら確かに自分の剣を振るうシャンクス、自らの勝てる相手をしっかり見極めながら、持ち前の運動神経でトリッキーな動きを見せるバギー、そして父親譲りの剣術で踊るように斬撃を飛ばすフレイア。三者三様、未完成ながらもどこか楽しそうな様子を見てレイリーとロジャーは一様にほくそ笑んだ。
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