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鏡面【ONE PIECE】

第4章 新しい朝、そして懐古の夜更け


「シャンクスはファイから覇王色の片鱗を見たと聞いたから、コントロールを教えておくべきだと思ってな」
「覇王色?」
「お前、人攫い共のアジトで一気に地下の奴等を気絶させただろ」
「え、おれそんなことしてました?」
 腕を組んで考え込む素振りを見せるが、頭に血が上っていたこともあって記憶は不鮮明だ。そういえば、そんなことあったかもしれない……? とシャンクスが頷くとレイリーは肩をすくめる。
「まァそれはこれから追々見ていけばいい。お前たちに最初に教える色はそれぞれ違うが、最初の基礎知識はまとめて教えた方が効率的。だから揃って呼び出したというわけだ」
「ハイ質問」
 行儀よく手を挙げたフレイアにレイリーが発言を促すと、恐る恐ると言った様子で口を開く。
「人払いされてるのはどうしてですか」
「……聞きたいのか?」
 眼鏡の位置を直しながら微笑むレイリーにフレイアは全力で首を横に振る。知りたくはないが、予想を確信に変えるには十分だった。
「話は終わりか? さっさと始めるぞ」
 黙りっぱなしだったファイは軽く欠伸をしながらフレイアとシャンクスの前に立つと、すぐ目を閉じる。
「まずは体感するのが第一歩だ。二人同時でもバラバラでもいいからおれに打ち込んで来い。手加減は要らない」
「する必要もないわよ、お父さん相手じゃ」
 そう言うか言わないか、迷いなく距離を詰めて斬りかかるフレイアだったが、目を閉じたままファイは小さな動きだけで避ける。彼女の陰から避けた先を狙っていたシャンクスの斬撃も、まるで見えているように易々躱される。
「半端ねェな相変わらず」
「逃げに徹されると当てれっこないわよ」
 不平を言いながらも手を休めない二人の太刀筋を見て薄く微笑んだレイリーが声を張り上げる。
「フレイア、お前が最初に会得しなきゃならんのがその見聞色の覇気だ」
「え、私これが最初なの!?」
「当たり前だ」
 唐突にファイが目をつぶったまま、二人の手元めがけて鞘に収まったままの刀を振るう。弾かれて高々と舞った自分の相棒を取りに行こうとした二人だったが、急に体にかかった大きな重圧に体を止めた。
「ホォ……この程度はもう余裕で耐えるか」
 ビリビリと感じるプレッシャーの根源に目をむけると、レイリーが二人を見据えていた。
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