第4章 新しい朝、そして懐古の夜更け
「分かんねェもんか? ついでに言うと、無くなったわけじゃねェと思うぞ。弱いが、元の片鱗も感じるからな」
「全く分からん……」
様々な角度から眺めてくるバギーが不快だったのか、フレイアが無言で彼を殴る。抗議する声も無視して今度こそベッドから立ち上がるも、ふらりと体が揺れた。
「お、おい」
「なんか力が入らない……」
慌てて支えたシャンクスとバギーに肩を借りながら言うと、当たり前だろうと左右同時に声を上げる。
「お前昨日から何も食ってないんだぞ」
「丸一日寝てたしな」
「あ、そっか」
フレイアが納得がいったという顔で笑うと、釣られて両側の二人も笑った。
「……大丈夫そうか」
「ああ、フレイアの見た夢の話はよく分からんが、お陰でマイアみたいに落ち込んでる様子もない」
そんな子供達の様子を少し離れたところで見ていたレイリーとファイは、身体の力を抜いて安心した様子で嘆息する。
「ハハハ、お前ら揃って父親みたいだな」
「おれは元々父親だ!」
ロジャーの言葉にファイが噛み付くと、すかさずレイリーもやれやれという顔で笑う。
「実の父親が未熟すぎるもんでな」
「うるせェ!」
「……あの3人も仲良いわね」
「食堂行こうぜ。ミランダさんも心配してたぞ」
「ついでに、おやつでも貰うか」
「賛成」
じゃれ合う大人達を尻目に、3人は支え合いながら医務室を後にした。
「そうだ、二人にお願いがあるの」
「ん?」
「んー、あとで言うね!」
悪戯っ子のように笑うフレイアの顔を見て、シャンクスとバギーは冷や汗が背中を伝うのを感じた。