第4章 新しい朝、そして懐古の夜更け
「起きたのかフレイア!」
上機嫌な様子で入ってきたロジャーに、フレイアが笑顔を返す。
「うん、もう大丈夫! ところで船長、そこの4人が不審なんだけど何か知ってます?」
「ん?」
「不審とか言うな」
心外だという表情をする4人にロジャーとフレイアが首をかしげる。しかし、直ぐ興味を失ったようでロジャーはフレイアの顔を覗き込んだ。
「お、お前は紫か」
「え? ああ……なんの法則なんでしょうね」
「宝石みたいで綺麗じゃねェか。良いと思うぞ」
「本当に? 良かった」
「……」
いつも通り会話をする2人を見て、4人も少しずつ落ち着いていくのを感じていた。
(身体的変化はあるのに何も無いっていうのも妙な話だが……)
腕を組んでジッと見つめるレイリーの視線に気付いたのか、フレイアがキョトンとした顔を向ける。
「フレイア、お前、海の声は聞こえてるのか?」
「レ、レイリーさん!?」
直接的な問いに思わず声を出すシャンクスを視線で黙らせて、返答を促すレイリーにフレイアの顔が僅かに曇る。
「あの、その、聞こえてないです……全然」
「ええ!?」
「結局!?」
「……」
「え、お前ら気付いてなかったのか?」
驚くシャンクスとバギーの隣で、ファイが表情を歪める。1人、ロジャーだけが不思議そうな顔で男達とフレイアを交互に眺める。
「なんでお前そんなに落ち着いてられるんだ」
「なんか夢の中で教えてもらったというか……起きたらこうなってるぞーって」
「夢?」
「夢でご先祖に会いまして……?」
頰をかきながら言うフレイアの言葉に「何言ってんだこいつ」という顔をする子供2人に対して、難しい顔をするレイリーとファイ。そして何が面白かったのか笑うロジャー。
「死ぬか生きるかって時にはそういう不思議なこともあるもんだ」
「ええ、その雑なまとめでいいんですか」
「だって見たのはフレイアだけなんだろ? 確かめようもねェんだから信じるだろ」
「それはそうだけど……というか、なんで船長はこいつの力が無くなってるって?」
「ん? それはお前……なんか雰囲気が違っただろ?」
「いや、どこが」
フレイアをジッと見つめるも、目の色以外の違いが見つけられないバギーが胡散臭いものを見る目でロジャーを見上げる。